抗がん剤治療の副作用 下痢になったときは

抗がん剤の副作用 下痢になったときには

抗がん剤治療中におこる下痢は、苦痛をともなうだけでなく、場合によっては生命にかかわることもあります。
下痢のおこる時期や原因を知り、ケアできるようにしましょう。


下痢の原因
抗がん剤治療中におこる下痢は、つぎの2種類にわけることができます。

①早期性の下痢(コリン作動性の下痢)
抗がん剤により自律神経(副交感神経)が刺激をうけ(これをコリン作動性といいます)
腸の動きが活発になっておこる下痢です。
抗がん剤を投与してから24時間以内におこり、数日間でおさまります。

②遅発性の下痢(腸管粘膜障害による下痢)
抗がん剤によって腸が刺激をうけ、腸の粘膜が傷ついておこる下痢です。
この種類の下痢がおこった場合、感染症をひきおこすこともあるので注意が必要です。
抗がん剤を投与してから24時間以降(一般的に10~14日後)におこります。


下痢のおこりやすい抗がん剤
すべての抗がん剤で下痢がおこるわけではありません。
下痢のおこりやすい抗がん剤として、つぎのような薬剤が知られています。
また、治療中の不安や精神的なものが原因で、下痢になる場合もあります。


 薬効分類  薬剤名
 トポイソメラーゼ阻害剤  塩酸イリノテカン(トポテシン)、エトポシド(ベプシド)
 代謝拮抗剤  フルオロウラシル(5-FU、ユーエフティ、ティーエスワン)
 メトトレキサート(メソトレキセート)、シタラビン(キロサイド)
 植物アルカロイド  パクリタキセル(パクリタキセル「NK」・タキソール)、
 ドセタキセル(タキソテール)
 アルキル化剤  シスプラチン(プラトシン・ランダ)
 抗がん性抗生物質  塩酸ドキソルビシン(アドリアシン)、マイトマイシンC(マイトマイシン)、
 アクチノマイシンD(コスメゲン)
 ※(  )内はお薬の商品名です。


セルフケアのポイント
普段から排便回数や便の状態を記録するように心がけておくとよいでしょう。
そうすることで、下痢になったときすみやかに対処するてがかりとすることができます。
下痢になった場合、生活面で以下のことに注意するとよいでしょう。

①水分補給をこまめにおこないましょう。その際は、腸を刺激する冷たい飲み物はさけ、常温もしくは温めた飲み物をとりましょう。
下痢のときに水分を控えるのはよくありません。

②腹部を冷やさないようにしましょう。

③腸を刺激するような食べ物(野菜やイモ類などの食物繊維の多いもの・揚げ物や辛いもの・カフェインを含む飲み物など)は
避けましょう。また、感染症を防ぐために 生ものはさけ、加熱した消化のよいもの(おかゆやうどんなど)をとるようにしましょう。

④皮膚や粘膜の炎症や感染予防のため、肛門周囲を清潔にしましょう。
シャワー式トイレを使用すると清潔に保つことができます。


下痢のときに使用する薬剤
排便状況にあわせて薬剤によるケアもおこなわれます。
下痢には、下記の表にあげられる薬剤がおもに使用されます。

 薬効分類  薬剤名
 抗コリン薬  ロートエキス散、臭化ブチルスコポラミン(ブスコパン)
 腸管運動抑制薬  塩酸ロペラミド(ロペラミド「EMEC」、ロペミン)、リン酸コデイン散
 収斂薬  タンニン酸アルブミン(タンナルビン)
 吸着薬  天然ケイ酸アルミニウム(アドソルビン)
 整腸薬  ビフィズス菌製剤(ラックビー)、
 乳酸菌製剤(ビオフェルミン、エンテロノン-Rなど)
塩酸イリノテカン(トポテシン)
ただし、塩酸イリノテカン(トポテシン)による下痢は 注意が必要です。
塩酸イリノテカンは肝臓で代謝される薬剤ですが、そこでできる代謝物が腸の粘膜を傷つけるために
下痢になるといわれています。

この塩酸イリノテカンの代謝物は、腸内が酸性になると その毒性を増すといわれているため、
酸性の飲食物(ヨーグルトなどの乳酸菌食品)の摂取や腸内を酸性にする薬剤(整腸薬)の
服用はさけてください。



排便回数が1日につき3回以上増加したとき、水様性の下痢になった場合、刺しこむような
腹痛をともなった場合、便に血がまじった場合など、普段とことなる症状がでたときは
早めに病院に相談してください。

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